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『仮想的な失調』

based on "名取川" and "船弁慶"
「東京芸術祭 2024」参加

会期

2024年9月19日(木)〜9月22日(日・祝)

会場

東京芸術劇場 シアターウエスト

JR・東京メトロ・東武東上線・西武池袋線 池袋駅西口より徒歩2分。駅地下通路2b出口と直結しています。
〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-8-1
https://www.geigeki.jp/

人々

演出

カゲヤマ気象台*、蜂巣もも(グループ・野原)

脚本

カゲヤマ気象台*

出演

辻村優子
鶴田理紗(白昼夢)
橋本 清(ブルーノプロデュース/y/n)
畠山 峻*(PEOPLE太)
日和下駄*

*=円盤に乗る派プロジェクトチーム

地下室に指示を待つ殺し屋が二人。傍には料理昇降機(ダム・ウェイター)。 不条理演劇の金字塔に《円盤に乗る派》が挑む!

「まるで、海の向こうの国から届くラジオの電波みたいに、不安定なまま、振動していた。それがおれの命だった。」
円盤に乗る派の新作公演『仮想的な失調』は、二つの古典作品を下敷きにした物語です。ひとつは、自分の名前すら忘れてしまう坊主を主人公とした狂言「名取川」。もうひとつは、源義経の西国落ちを題材にとり、涙の別れをする静御前と、かつて義経に滅ぼされた平家の亡霊を一人二役で演じる能「船弁慶」。常に複数のSNSを使い分け、様々なアイデンティティを駆使する現代の生活に向けて、これらの物語の新たな語り直しを試みます。そこから幽霊のように立ち上がってくるのは、私たちが根本的に抱えている根拠のない不安や、どこか既視感のある不気味さ。その先に、顔の見えないまま欲望が作用し合い、そのもつれが原因不明の"失調"を引き起こす現代社会のシステムを見つめ直すこともできるかもしれません。演出には、2020年の『おはようクラブ』でもコラボレーションした蜂巣ももを再び迎え、カゲヤマ気象台との新たな共同体制で挑みます。

人間のかたちをして生きていくとき大事なのは、いつでも円盤に乗れるようにしておくことだ。

『幸福な島の夜』(2023)撮影:濱田晋

円盤に乗る派宣言

「架空の存在であってはならない。大きな声を出してはならない。誰でもここで生きることはできる。静かで自由な場所に、円盤はやってくる。誰も興味はないかもしれないけれど、それに乗るということはよい物語だ。人間のかたちをして生きていくとき大事なのは、いつでも円盤に乗れるようにしておくことだ。そこでは見たことのない、知らないものがなぜか親しい。価値は過剰にはならない。然るべき未来について考える。時間は経っているが、周りに気づかれるほど長くはない。帰ってきたときも、誰にも興味はもたれない。」

円盤に乗る派について

円盤に乗る派は複数の作家・表現者が一緒にフラットにいられるための時間、あるべきところにいられるような場所を作るプロジェクトとして、2018年にスタートしました。軸になるのはカゲヤマ気象台による上演作品ですが、様々なプログラムや冊子の発行、シンポジウムなどを並行して行います。
ここで試みられるのは匿名/顕名が平等になる場所です。誰でも発信が可能であり、大きな民衆の声が響き渡る世界の中で、小さな声が守られる場所はとても貴重です。さまざまな声が飛び交ううるさい場所を逃れて、そこであればしっかりものを見、考え、落ち着くことのできるという場所を確保します。それは演劇にまつわるあらゆる要素を、生活とダイレクトに接続するということでもあります。このプロジェクトを通じて、種々の、色んな意味で「実際に活用できる」アイディアを提唱します。ここを訪れた観客たちが各々の生活の中で、それらを実践し、少しでもより生きやすくなることができればと思います。
いつか現れる円盤に乗るということに、強い目的も思想もありません。それはただ「円盤に乗ってみた」という事実が残るだけです。他の人に何ら影響を与えることもなく、大きな社会にとって何の関係もありません。しかし「円盤に乗った人」と「乗らなかった人」は明らかに何かが違ってしまったはずであり、あくまで個人的なその変化に興味を持つ人々、誰にも気づかれない秘密を抱えたい人間たちこそ、「円盤に乗る派」と呼べるでしょう。

これまでの作品
(NEO表現サテライト参加)『料理昇降機』(2024)
『幸福な島の夜』(2023)
円盤に乗る派extra 『MORAL』(2022)
『仮想的な失調』(2022)
『ウォーターフォールを追いかけて』(2021)
『流刑地エウロパ』(2021)
『ウォーターフォールを追いかけて オンライン上演』(2020)
『清潔でとても明るい場所を』(2019)
『正気を保つために』(2018)

アーカイブブック『NORUHA 2018-2020』

演劇とよりシームレスにつながるためのコミュニティ・共同アトリエ「円盤に乗る場」
https://note.com/noruha/m/m1c104069f174

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プロジェクトメンバー

カゲヤマ気象台

1988年静岡県浜松市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。 2008年に演劇プロジェクト「sons wo:」を設立。劇作・演出・音響デザインを手がける。2018年より「円盤に乗る派」に改名。2013年、『野良猫の首輪』でフェスティバル/トーキョー13公募プログラムに参加。2015年度よりセゾン文化財団セゾン・フェロー。2017年に『シティⅢ』で第17回AAF戯曲賞大賞受賞。

畠山峻

1987年北海道札幌市生まれ。舞台芸術学院演劇部本科卒。俳優としてブルーノプロデュース、20歳の国、亜人間都市などの作品に出演。カゲヤマ気象台の作品では『おはようクラブ』『野生のカフカ@おいしいカレー』『流刑地エウロパ』などに出演。演劇ユニットpeople太では演出をしています。
http://people-futoshi.blogspot.com/

日和下駄

1995年鳥取県生まれ。2019年より円盤に乗る派に参加。以降のすべての作品に出演。特技は料理、木登り、整理整頓、人を褒めること。人が集まって美味しいご飯を食べることが好き。下駄と美味しんぼに詳しい。

渋木すず

1990年広島県生まれ。会社員。エッセイを書く。「ちょっとしたパーティー(@A_little_party)」という名前で餅つきや同人誌作り等々に勤しんでいる。
note: https://note.com/suzu_shibuki

円盤に乗る派への参加に寄せて/渋木すず: https://note.com/noruha/n/n05f26a4f098d

Photography by Arata Mino