かっこいいバージョン『おはようクラブ』

「かっこいいバージョン」について
この公演は「かっこいいバージョン」です。演出家の蜂巣ももをゲストに招き、カゲヤマ気象台と共同で演出を行います。これは共作というより分業の作業です。通常多岐にわたる演出という分野を、領域を分けることによってそれぞれの担当する範囲を縮小し、両者の特徴をより濃密に反映させることによって、作品全体をかっこよくしようという試みです。今回はカゲヤマが「内面・内側」からのアプローチを、蜂巣が「表れ・外側」からのアプローチをとることによって、その衝突点においてひとつの演出を練り上げていきます。


現時点における最善の消極的なユートピア、これならなんとか成立できるかもしれない良いコミュニティは、どんな形をしているだろうか。
コミュニティを作るお膳立ては、この世のあらゆるところに存在している。参入するのはとても簡単だ。インフルエンサーを5人ばかりフォローすればもうじゅうぶんだろう。あとは蟻の巣のように広がっていく。ほんの少しの積極性さえ持っていれば、どこまでも奥に入っていくことができる。そうして奥に行くほど帰って来るのはむずかしくなり、身動きはできなくなる。
誰もが客観性を保ったままそこにいることができる、と考えられるほど楽観的になることは難しい。実感を、感情を吐露するのは簡単だ。それが苛立ちや怒りならば、はるかにかなり簡単だ。悪い言葉は圧倒的な存在感で、竜巻のように立ち上る。その存在から目を背けるということはとても難しい。
本当なら、楽しければ客観性などいらない。いつも楽しく、いい感じで踊っていたい。ゆらゆらと、何かに固執することなく、自らを客観視せず、あらゆるものと相対化せず、空気中の微生物のように存在していたい。なぜそれができないのだろう?
きっと最低限必要なのは消極性だと思う。消極的であることによってユートピアが見いだせるような、そんなあり方ができたらよいのだと思う。その中でもさらに良いものが目指せたらいい。消極的に目指すというのは矛盾なのだけど。しかし矛盾は引き受けなくてはいけないだろう。そしてもしそういったユートピア的なコミュニティが存在できたとしても、それはすぐ崩壊してしまうだろう。
崩壊してしまうのはさみしい、しかしその危うさがなければ、そもそもそのようなコミュニティは存在できない。信頼がおけない楽しいコミュニティ、それに「おはようクラブ」というふざけた名前をつけながら、最大限、できるだけ長い間、楽しめていたらよいと思うのだけど。

カゲヤマ気象台


かっこいいバージョン『おはようクラブ』

2020年1月11日(土)〜13日(月祝)
会場 吉祥寺シアター

人々

【演出】カゲヤマ気象台*⇔蜂巣もも(グループ・野原/青年団演出部)【脚本】カゲヤマ気象台*【出演】日和下駄*【出演】畠山峻(PEOPLE太)【出演】上蓑佳代(モメラス)【出演】横田僚平(オフィスマウンテン)【舞台監督】河村竜也【舞台美術】渡邊織音(グループ・野原)【舞台美術アドバイザー】鈴木健介(青年団)【照明】伊藤泰行【音響】カゲヤマ気象台*【衣装】原田つむぎ【記録】黒木洋平(亜人間都市)【制作】冨田粥【制作補佐】林揚羽(しあわせ学級崩壊)【デザイン】大田拓未
*=円盤に乗る派プロジェクトチーム



稽古場記録

共同演出の稽古の様子を記録します。記録者は、自身も演劇ユニット・亜人間都市で制作を行う劇作家・演出家の黒木洋平さんです。独立した視点で創作に立ち会いながら、その間に働いた思考や問題意識にも踏み込みつつ、演劇が立ち上がる様子を記録として残していきます。不定期更新。

No.0 私は、記録することについて考えながら…(2019/11/1)
No.1 人と話すとき、結構かなり病的に…(2019/11/27)
No.2 ある俳優の書いた、ハラスメントの告発とまではいかないが…(2019/12/24)
No.3 「内と外」と単に言うとき、その意味の線引きは…(2020/1/10)


関連企画

①『おはようクラブ』ワークショップ
来年1月の新作『おはようクラブ』の上演に向けて演出のカゲヤマ気象台、蜂巣ももによるワークショップを開催します。
本番と同じ空間で、作品が成立する過程に参加してみましょう。
講師:カゲヤマ気象台・蜂巣もも
日程:12月4日(水)~5日(木)18:00〜21:30
対象:2日間の全日程に参加できる18歳以上の方
定員:10名程度(申込多数の場合抽選)
参加費:1000円
応募〆切:11月22日(金)正午
申込・詳細は吉祥寺シアターHPまで
http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventworkshop/2019/11/noruhaWS.html


②『おはようクラブ』ワーク・イン・プログレス
1月の本公演に向け、試演会を行います。
日程:12月6日(金)20時開演
入場無料・入退場自由
終演後にアフタートークを予定
詳細は吉祥寺シアターHPをご参照ください
http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2019/11/noruhaWIP.html

当日の様子を動画及びテキストで無料公開中!
https://note.com/noruha/n/n9e15bfa5d72b?magazine_key=m1c104069f174


③アフターイベント「シンポジウム」(60分程度)
開催日時:11日15時の回終了後
登壇者:西尾佳織(鳥公園)、カゲヤマ気象台、蜂巣もも

今年、複数演出家体制という新たな体制を発表した鳥公園の西尾佳織氏を招き、そのアソシエイトアーティストであり、今作で共同演出を担当している蜂巣ももと共に、演劇を取り巻く環境の問題や、今後の集団のあり方について語り合うシンポジウムを開催します。
当該公演をご覧になった方は無料でご参加いただけます。

【西尾佳織(鳥公園)】
劇作家、演出家、鳥公園主宰。1985年東京生まれ。幼少期をマレーシアで過ごす。東京大学にて寺山修司を、東京藝術大学大学院にて太田省吾を研究。2007年に鳥公園を結成以降、全作品の脚本・演出を担当。「正しさ」から外れながらも確かに存在するものたちに、少しトボケた角度から、柔らかな光を当てようと試みている。『カンロ』にて第58回、『ヨブ呼んでるよ』にて第62回岸田國士戯曲賞にノミネート。2015年より、セゾン文化財団ジュニア・フェロー。


④アフターイベント「トーク」(30分程度)
開催日時:12日19時の回終了後
登壇者:快快 -FAIFAI-(北川陽子、山崎皓司、佐々木文美、河村美帆香)、カゲヤマ気象台、蜂巣もも、日和下駄

グループによる共同制作という形をとりながら、演劇というジャンルにとどまらない作品を発表し続けている快快 -FAIFAI-。そのメンバーをお招きし、共同制作に対する思いやこれまでの実践などを伺いながら、円盤に乗る派の取り組みとも比較しつつ、今回の作品のありようについて掘り下げていきます。

【快快 -FAIFAI-】
東京を中心に活動する劇団。変化し続けるメディア、アートの最前線にアクセスしつつ「演劇」をアップデートし、社会性とポップで柔らかなユーモアを併せ持つメッセージで幅広い支持を得る。2009年よりアジア、EUにも活動の場を広げ、2010年9月代表作『My name is I LOVE YOU』でスイスのチューリヒ・シアター・スペクタクルにてアジア人初の最優秀賞、「ZKB Patronage Prize 2010」を受賞。国際的にも注目されている。


主催

円盤に乗る派


提携

公益財団法人武蔵野文化事業団


助成

公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京


designed by Ota Takumi